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コラム

第12回
生物:無生物 ⇒ 生きている組織:死んでいる組織



先日、青山学院大学の福岡伸一教授がお話しさせているテレビの番組を見ました。
福岡教授は分子生物学(“生命(生物)について分子レベルで考える”という学問のようです)を研究されている方で、「生物と無生物のあいだ」(ISBNコード978-4-06-149891-4)
という本を書かれてベストセラーになっていますので、書店で山積みになっているのを見かけられた方も多いのではないでしょうか?

その番組のなかで、福岡教授は「生物と無生物の違いを定義して欲しい」という命題を提示されました。

動く/動かない、成長(変化)する/成長(変化)しない、などの答えが頭に浮かびますが、福岡教授は、『エントロピーを増大させず維持することができる=生物/エントロピーが増大してしまう=無生物』という一つの解を示されました。

「エントロピーは増大する」という理論は、万物に適用される真理の一つであることは誰も異論はないでしょう。
「美しく整理されていた部屋は、徐々に汚く散らかっていく」
「きれいに分けられていたものは、徐々に均等に混ざり合っていく」
「集中しているエネルギーは、徐々に分散していく」

確かに生物はそれが生きている限りその“形”をエントロピーが増大しない状態で維持し続けます。そして、そこに死が訪れると、腐敗し乾燥しやがて風化していきます。
生きている間は、美しく維持されたその形も、死によって失われ、無くなっていきます。
「維持されたエントロピー」から「増大するエントロピー」への変化が、「死」という変曲点において発生したことを意味しているわけです。


我々の組織活動でも、この「エントロピーの法則」は同様に適用されるのだと思います。

世の中に、「生きている組織」と「死んでいる組織」が存在している、と仮定してみます。
「死んでいる組織」つまり「エントロピーが増大してしまう組織」とはどういう組織でしょうか?

「整然と正しく実施されていた作業が、バラツキの多い間違った作業に変わってしまう」
「分かり易く単純に取り決められた作業プロセスは、複雑で混乱の多い作業プロセスに変わってしまう」
「いつも正しく実施されていた作業は、やがて時々間違うようになり、さらに時が経つと頻繁に間違いが起こるようになる」
「守られていたルールが、だんだんと守られなくなり、形骸化し、ルールに従わないやり方が横行し始める」
こんな組織はエントロピーを維持することができなくなってしまっている、つまり“死んでいる”組織なのだと思います。
そして、上記のような状態は、様々な組織においてしばしば見受けられることで、決して特殊な状態ではありません。
「エントロピーは増大する」という理論が、万物に適用される真理であるように、残念ながら私たちの組織もその真理の適用範囲にあるのです。

福岡教授は、生物は自分のエントロピーの維持するために、実は分子レベルでの入れ替えをどんどん行っている、言われていました。「半年も経てば、人は分子レベルでは別人になっている」のだそうです。

つまり、“生きているもの”は自分自身が生き続けるために、自分自身を変え続けることができる、ということなのだ、と言うのです。

私たちにとっても、私たちの組織を生かし続けるために、『エントロピーを増大させず維持し続ける』ための活動、『自分自身を改革/変化させ続ける』ための活動が重要なのです。

そして、その組織にとってその活動が具体的に何なのか、を考え続けなければならないのだと思います。


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